オーストラリア先住民による「先住民大使館」は俗に「テント大使館(The Tent Embassy)」とも呼ばれ、今も首都キャンベラでパブリックアートのように先住民の権利を静かに主張し続けています(前編参照)。後編では、テント大使館の設置以降、1980〜90年代の労働党政権による先住民への歩み寄りと、その後テント大使館に対抗する保守連合政権側のパブリックアート設置の経緯などを解説します。(文=恵啓)
タグ: アボリジニー
【前編】オーストラリアの「テント大使館」対「和解プレース」、あるいは先住民 VS 連邦政府
オーストラリアの首都キャンベラで注目すべきものの一つが、オーストラリア先住民と連邦政府のパブリックアート対決です。それは静かに、しかしあからさまに勝負を続けています。
先住民側の仕掛けは、旧国会議事堂(Old Parliament)前の広場に1972年に立ち上げられ、数度の断続を経て、1992年のオーストラリア記念日から恒久的に維持されている「先住民大使館」、あるいは俗に「テント大使館(The Tent Embassy)」と呼ばれるものです。(文=恵啓)
「オーストラリア先住民のアート」なのに海外産? 本物vs偽物をめぐる倫理と規範
有名なオーストラリア土産の1つとして、先住民族(アボリジニー)の工芸品や伝統の模様を用いた製品があります。こうした「先住民アート」に似せて作られた海外産の模倣品(偽物)が問題化していることをご存知でしょうか。インドネシア産でもオーストラリア産と表示できてしまう法律、それを知りながら取り扱う土産物店、何も知らずに購入する旅行者……。シドニーで開催された、オーストラリア先住民のアートを取り巻く業界の歪みを考えるトークイベントの様子や、先住民アート・コードという倫理規範、今年行われた偽物のお土産品の卸売業者の取り締まりなどについてお伝えします。
