シドニーの注目ミューラルアート(壁画)、「エッグボーイ」など3選

建物などの壁に描かれたミューラル(壁画)とグラフィティー(落書き)の定義の違いは何でしょうか。ニュージーランドで3月に起きたモスク銃乱射事件後に創られた「エッグボーイ」や、オーストラリア先住民の歴史と現在に焦点を当てた作品など、シドニーの3つのミューラルアートに注目し、そのコンセプトを考えてみました。

Old Parliament House / Image: 恵啓

【後編】オーストラリアの「テント大使館」対「和解プレース」、あるいは先住民 VS 連邦政府

オーストラリア先住民による「先住民大使館」は俗に「テント大使館(The Tent Embassy)」とも呼ばれ、今も首都キャンベラでパブリックアートのように先住民の権利を静かに主張し続けています(前編参照)。後編では、テント大使館の設置以降、1980〜90年代の労働党政権による先住民への歩み寄りと、その後テント大使館に対抗する保守連合政権側のパブリックアート設置の経緯などを解説します。(文=恵啓)

Tent Embassy / Image: Pixabay

【前編】オーストラリアの「テント大使館」対「和解プレース」、あるいは先住民 VS 連邦政府

オーストラリアの首都キャンベラで注目すべきものの一つが、オーストラリア先住民と連邦政府のパブリックアート対決です。それは静かに、しかしあからさまに勝負を続けています。
先住民側の仕掛けは、旧国会議事堂(Old Parliament)前の広場に1972年に立ち上げられ、数度の断続を経て、1992年のオーストラリア記念日から恒久的に維持されている「先住民大使館」、あるいは俗に「テント大使館(The Tent Embassy)」と呼ばれるものです。(文=恵啓) 

20180718.HeapsArt.NAIDOC art exhibition 'KUNGKA KUNPU / Strong Women' at Koskela

NAIDOCウィークとは? 2018年はオーストラリア先住民の芸術家によるアート展も

オーストラリアでは真冬にあたる毎年7月、NAIDOCウィークというイベントが開かれます。今年2018年は7月8〜15日に開催され、オーストラリア先住民族の文化や歴史を紐解き讃えるセレモニーや講演、ダンス、アート展など様々なプログラムが用意されました。そもそもNAIDOCとは? さらにNAIDOCウィークの今年の開催テーマ、シドニー近郊で7月22日まで開催中の展覧会、会場となったデザイナーズ家具のショールーム「コスケラ(Koskela)」についてお伝えします。

2020年シドニービエンナーレ芸術監督はブルック・アンドリュー、初の先住民族ゆかりのアーティスト

2020年に開催予定の第22回シドニービエンナーレの芸術監督に、オーストラリア先住民族ウィラドゥリのアーティスト、ブルック・アンドリューが決定しました。先住民につながりのある芸術監督が就任するのは、シドニービエンナーレ史上初めてのことです。2年後のビエンナーレに向け注目が集まるブルック・アンドリューのこれまでの現代アート作家としての活動や、ウィラドゥリ・ネーションについてまとめました。