オーストラリア先住民による「先住民大使館」は俗に「テント大使館(The Tent Embassy)」とも呼ばれ、今も首都キャンベラでパブリックアートのように先住民の権利を静かに主張し続けています(前編参照)。後編では、テント大使館の設置以降、1980〜90年代の労働党政権による先住民への歩み寄りと、その後テント大使館に対抗する保守連合政権側のパブリックアート設置の経緯などを解説します。(文=恵啓)
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【前編】オーストラリアの「テント大使館」対「和解プレース」、あるいは先住民 VS 連邦政府
オーストラリアの首都キャンベラで注目すべきものの一つが、オーストラリア先住民と連邦政府のパブリックアート対決です。それは静かに、しかしあからさまに勝負を続けています。
先住民側の仕掛けは、旧国会議事堂(Old Parliament)前の広場に1972年に立ち上げられ、数度の断続を経て、1992年のオーストラリア記念日から恒久的に維持されている「先住民大使館」、あるいは俗に「テント大使館(The Tent Embassy)」と呼ばれるものです。(文=恵啓)
グレートバリアリーフは瀕死、でも基金は詐欺?どうなるオーストラリアの世界遺産
オーストラリア近海にある世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフは、地球温暖化や公害などの影響で死滅の危機に瀕しています。グレートバリアリーフを保護する動きも活発化している一方、オーストラリア政府からの4億4,330万豪ドル(約364億円)もの巨額の助成金を受け取った保護基金「グレートバリアリーフ・ファウンデーション」は大企業幹部や政治家の関与が明らかになり、助成金の不正受給の疑いが報道されています。ユネスコの世界遺産でありながら「危機遺産」の指定の可能性もあるグレートバリアリーフの現状と、環境保護をめぐる動きについてまとめました。
オズハーベスト、シドニーの期間限定カフェの食品廃棄ゼロだけじゃないコンセプト
2017年にシドニーで飲食店などの余剰食材だけを扱うスーパーマーケットをオープンしたことで話題になったフード・レスキュー団体「オズハーベスト」が、今度はカフェを期間限定で開店しました。このオズハーベスト・カフェは、飲食店や食品卸業者から出た「使えるのに廃棄になる食材」を活用したメニューを提供し、食品廃棄を防ぎながら利益をチャリティーに回すという新たな循環の可能性を提示しています。オズハーベストは具体的にどんな活動をしているのか、カフェではどんな食材が使われているのか、美味しくおしゃれなメニューと共に紹介します。
オーストラリア農業を襲う干ばつの現状と、国民の「マイトシップ精神」とは?
オーストラリアで深刻な干ばつによる飼料不足に悩む農家を、国民の寄付で助けようという動きが広がっています。約1,200頭の羊の殺処分に直面した畜産農家の悲惨な現状をオーストラリア国内のメディアが報道した直後から、政府より早く有志や民間団体がサポート活動を開始。こうした困難な状況が発生したときに発揮される、オーストラリアの助け合いの精神「マイトシップ」を考えます。
NAIDOCウィークとは? 2018年はオーストラリア先住民の芸術家によるアート展も
オーストラリアでは真冬にあたる毎年7月、NAIDOCウィークというイベントが開かれます。今年2018年は7月8〜15日に開催され、オーストラリア先住民族の文化や歴史を紐解き讃えるセレモニーや講演、ダンス、アート展など様々なプログラムが用意されました。そもそもNAIDOCとは? さらにNAIDOCウィークの今年の開催テーマ、シドニー近郊で7月22日まで開催中の展覧会、会場となったデザイナーズ家具のショールーム「コスケラ(Koskela)」についてお伝えします。
ハッシュタグ(#)で見るオーストラリア・デーの過ごし方、先住民族とオージーの関係
今年の1月26日のオーストラリアでは実際に人々はどんなことをして過ごしたのか、白人や先住民族それぞれの胸にどんな思いがあったのか、Twitterのハッシュタグやトレンドワードを基に様々な意見や見解について考えてみます。
「同性婚」法案、オーストラリアで可決。来年1月からゲイカップルも結婚可能に
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